まださなぎ(旧)

誰かさんの蝋の翼。気負わず気楽に書いてくよ。

キリスト教をなるべくしっかり簡単めに解説するよ!

f:id:dettalant:20161216151429p:plain:w225


歩の初歩からキリスト教を知りたい君へ。

なるべく簡単がいいけど、中身のないコピペ記事は嫌だと言う君へ。


「いざ比較宗教!」と決意した日から、ほぼ一年間。

毎週欠かさず教会に通いつめた僕が、
君の疑問を可能な限り氷解させてみせようじゃないか。


ただ、僕は洗礼受けてないし、自覚的な信仰もないの。

なので「神様がどう素晴らしいのか」って話は期待しないでね。


あくまで学術っぽい方向で、
ネットではあまり見かけない方向からの話をしようと思ってます。


じゃあ、一問一答形式で進めていくよ。
よろしくねー。



追記:2017/01/12
・ 全体に改行の仕方を修正。
・ 見出しを細かく付けた
・ 「聖人信仰」「神への直接的な祈り」二つを追加
・ 「原罪」部分を追記
・ Q7での表現を修正
・ 広報係長を広報課長に修正

追記:2017/01/22
・ いくつか参考リンクを追加
・ 基本的には「わりと公平・学術的な書き方」のサイトさんへリンクを張ってるよ


Q1:なにを信じてるの?

A1:主軸はやはり『神の子』イエス・キリスト


f:id:dettalant:20161216151435p:plain:w250
(画像はいらすとやさんが描かれた似顔絵です)


この世界一有名な顔の人、
イエス・キリスト」抜きにして、キリスト教を語ることはできない。

や、当然っちゃ当然だけどさ。


キリスト教一神教
ユダヤ教イスラム教と同じく、唯一神を崇める部分も強い。


けれど、キリスト教の教義のすべてが、
イエス・キリスト」によって結び付けられている……と言っても過言じゃない。

神の子キリスト

えーっとね。
さっき「神の子」って言葉を使ったでしょ?


これを言い換えれば「唯一神の一人息子」。

なんだか七色の輝きがある言葉だけど、
ここはキリスト教ですごく重要な部分なのよね。


歴史の上ではいろいろあったんだけど、

少なくとも今は、
イエス・キリスト=神の息子」派閥が超主流派。


なので、「キリスト教=神の子崇拝」と言っても過言じゃないんだよ。

イエス・キリストあってこそのキリスト教

いわゆる有名一神教三つ……専門用語では『アブラハムの宗教』。



この三つの中で、共通してるものは多い。


信じる神はもちろん、三つともで共通の『天の父』。
また、聖霊(と似た立ち位置のもの)があったりね。


だけれど、「イエス・キリスト」については違う。

イエスを神の子として扱う」のは、キリスト教だけ。オンリーワン!
つまり、それこそがキリスト教のキモの一つってこと。


キリスト教を学んでいくなら、とにもかくにもイエス・キリスト
そこから、様々な部分が待っている。

誰しも、だいたいそういう感じなので……夜露士苦ゥ!。



あと、ここでは意図に使わなかったんだけど、
三位一体」って言葉がある。

キリスト教を学ぼうとすると、だいたいここにぶつかるので……。


dettalant.hatenablog.com


気になる方は、この記事もあわせてどーぞ。

なにか間違えてる箇所があったら、
そっと教えてくれると嬉しいな。


参考リンク(または、あわせて紹介リンク)

Q2:なにが根拠なの?

A2:世界一のベストセラー、『聖書』がその根拠とされてる。

(画像はAmazonへのリンク)


いや、『聖書が証拠だ』って突然言われても……」と思う人も多いだろう。
実際、僕もその気持ちわかっちゃう。


なのでここでは、
わりかしわかりやすい部分を話していくよ。

ナザレのイエスは実在した?

一つ目は、ナザレのイエス」という男性が実在したか」について。
キリスト教徒の人からすると、絶対に譲れないポイントだね。


ナザレという田舎町に育った彼は、ある時から神について語りだし、
民衆を惹きつけ、弟子たちを従えて……。

最後は十字架につけられて亡くなった。


と、「聖書は克明に描き出している」のだけど。


彼の実在を裏付ける聖書以外の証拠は…………実はすごく少ない。

その中でよく挙げられるのは、「ユダヤ古代史」って歴史書の記述だ。


(この本、シリーズがいっぱい)


これは非クリスチャン(ユダヤ教徒側の人)が書いた本でね。


イエスって名前の宗教指導家が処刑された」って話が入ってるから、
昔々からクリスチャンにありがたがられてきた本なのよ。

もちろん、この部分の信ぴょう性については諸説あり。


この記述は後世のもの」とか、
間違いなく真実」とか……まあ、いろいろな説。

中世の頃から、膨大な議論がなされてきたそうな。


実際問題、僕も軽々しく「こっちが正解!」とか、
口が裂けても言えません。

なので、「こういうのがある」って紹介にとどめておくよ。



とりあえず、「一つの歴史書の中に、イエスの名前が出てきてる」こと。

これが一つ目のこと。


聖書の書かれた時期

二つ目は、「イエスの死後まもなく、聖書の各部分が書かれている」こと。


まもなくっていっても、(早いものでも)数十年は経ってたって話だけどね。(細かい年代はやっぱり諸説あり)


一番早く書かれたとされる部分は、
パウロ先生の書簡群」とか、「マルコ福音書」あたりとされてる。

これが「イエス死後30年〜50年くらいで書かれた」……ってのが定説。


三十年。遅くても五十年より後じゃない。
これは一見遅く感じるけど、宗教歴史の上だとかなり早い時期だ。


「イエスをその目で見た人が、
まだ生きていておかしくない年代」
ってわけだからね。


一般的に伝承が大幅脚色されていくのは、
その目で見た」人たちがいなくなってから。

事実を知る人の有無は、脚色の有無を大きく変える。


と、いうわけで。
イエスの死後、すぐに書かれた部分がある」が二つ目の部分だよ。

(いろいろな意味で)世界一の本

三つ目は、世界一知名度の高い本であること。


(ギデオン協会などが無料で配りまくってるのが多分にあるけど)
総発行部数」「総翻訳言語数」とか……他にもいろいろ世界一。


どんなしょうもない記録であっても、
ギネスブックに乗ってたらなんかかスゴく感じる。

それと同じように、『世界一』の称号は妙なすごい力を持っている。


どんなに宗教と聖書が苦手で嫌いな人でも。
ここだけは評価せざるを得ないんじゃなかろうか……。

ってのは、僕が勝手に思ってることなんだけど。


みんなもちょっと興味が出たら、
ギデオン協会のおじさんおばさんから一冊聖書をもらおうね。

僕は(新共同訳/新改訳と)二冊もらったよー。


といった辺りはともかく、これが三つ目。


もちろんこれだけじゃなくて、他にもいっぱいあるのは間違いない。
そう、紹介していてきりがないくらいに……。

なので、ここでは三つ紹介するだけにとどめておくよ。


参考リンクもろもろ

ユダヤ古代誌関連

聖書関連

ギデオン教会関連

Q3:で、信じてどうなるの?

A3:教義的には「死後、永遠の命を得られる」とされているよ。


f:id:dettalant:20161216024010p:plain:w250

(永遠性を意味するウロボロスの輪)


信じたら天国行ける、信じなかったら地獄に落ちる」。
って言い方の方が有名かな。


まー、昔と違って現代では、
教会の教義にもグローバリゼーションの波が来だしててね。


カトリックあたりだと、
キリスト教以外の道でも救われる。けど、キリスト教が一番確実な道
って譲歩を見せだしてたりするんだけど……閑話休題

永遠の命

「神を信じることでの特典」。
これは他にもいっぱいある。(と、教会は言っている)


けれど中心の大黒柱は、
この「永遠の命を得られる」って教えだね。


一神教が究極的に求めるのは、
「現世利益」ではなく「現世を越えた場所での利益」。


これは日本の伝統宗教(特に神道)とは違う方向性だから、
日本人はときどき間違えがちだ。


宗教ウォッチをする場合に、注意が必要な点の一つだね。  

参考リンク

A3補足:キリスト教の現世利益的部分

しかしね。
天国を夢見るだけじゃ、今日の飯は食えなくて。

やっぱりにんげんだもの、現世利益も捨てられない。


上ではさんざん、 「現世を超えた場所での利益を重視」と言ったけれど。

キリスト教にもしっかり、
現世利益もらえるよ」って部分はあるの。

補足として、そこも少し話しておこう。

聖人信仰

キリスト教の現世利益」と言われてまず思い出すのは、聖人信仰


これは主にカトリック正教会の文化でね。
(一部の人が、聖公会ルーテル教会などで崇敬されてたりもするよ)

様々な聖人が、ゆかりある部分を守護している」という考えなの。


例えば、聖母の次に有名なマリアこと、「マグダラのマリア」。
この人の場合はこんな感じ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/マグダラのマリアより引用

崇敬する教派 カトリック教会、正教会聖公会

記念日 7月22日(カトリック)、8月4日(正教会、修正ユリウス暦を使用する正教会では西方と同じく7月22日)

守護対象 改悛した娼婦、罪を悔いる人、身体に障害のある子供、葡萄酒醸造業者、造園業者、織物業者、美容師

これにゆかりのある人…… (7月22日が誕生日だったり、似た境遇にあったり、
洗礼名が「マグダラのマリア」に由来する人、などなど)が、

「ああ、聖女マグダラのマリア、私の祈りを神様にお取り次ぎください……」って祈ったりするの。


聖人信仰については、
また別の記事を書きたいと思ってるけれど。

いろいろと複雑で、なおかつ面白い立ち位置なんだよねー。

神へ直接祈る

じゃあプロテスタント教会はどういう方法を取るのか?
と聞かれると、「祈り」なんだなあこれが。


一神教ではだいたい、
神様は万能。だから祈ることで力強く求めて、神様に叶えてもらうの
って考え方がある。


(聖人信仰をとっぱらったから)
プロテスタントでは「神様へと直接お願いする」という部分があってね。

それが「祈り」。


プロテスタント……特に「祈りを重視する教派」で顕著な文化だね。


メッセージの始まりに祈る。メッセージの終わりに祈る。

イベントの始まりに祈る。イベントの終わりに祈る。

ちょっと調子が悪い人のために祈る。最近来てない人のために祈る。


なにはともあれ祈る、祈る、祈るのよ。
しかも、わりと長い文言で。時には唐突に。

これについては、そうだなあ……。

「お祈りします。
天におられるお父様、この度は僕の記事に、また一人の閲覧者をお招きいただきありがとうございました。
彼、または彼女の抱いていた疑問が一つでも氷解いたしますように、どうぞおはからいください。
また、すでに書いていた記事の追記が滞りなく成功いたしますように、どうかそのお力をお貸しください。
いと高き天にありし右の座に座られる方の御名によって。アーメン」

みたいな感じだと伝われば嬉しい。
(少なくとも僕が行ってるプロテスタント教会では)ほんとこんな感じだから。

Q4:あれよね、なんか良いこと言うお説教系だよね

A4:その通り。イエス先生言行録を始めとして、お説教がいっぱいだ。


f:id:dettalant:20161216151431p:plain:w250

(罪を抱えた人間に対して、
ありがたい教えを説いていそうに見えなくもない男性の画像です)


  • あなたの頬を打つものには、もう一方も差し出しなさい(ルカ:6.29)
  • 金持ちが天国行くより、らくだが針の穴を通るほうが易しい(マタイ:19.24)」
  • 人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである(マタイ:7.1)」


などなど。
ありがたーいお説教の宝石箱だ。


宗教はえてして、「社会規範を教える部分」を持つものだけど。

キリスト教は特に精神性を重視しててね。
こういったお説教に満ちあふれているの。


まあ、聖書の箇所によって、
真逆のことを言ってたりする場合もあるけど……。


神の言葉は深遠で、人間がわかるようなものじゃない」との話もあるので、
僕は「ご愛嬌」と感じております……。

Q5:原罪がどうとか……?

A5:そうだね。伝統的にキリスト教会は「原罪」を押し出している。


f:id:dettalant:20161216151433p:plain:w250

(原罪といえばやっぱりこの人。聖アウグスティヌスの似顔絵です)


神学的な説明はいろいろある。
けど……ここはわかりやすく行こう。


俺達人間が悪いことをしてしまうのは、ご先祖様が神に逆らったからだったんだよ!」 ΩΩΩ(ナ、ナンダッテー!!)


(このネタ使うと嘘っぽく聞こえるけど)
ネタ抜きで原罪理論の大元はこれ。

ここでいうご先祖様ってのは、かの有名な「アダムとイヴ」のこと。
「原初の人」とかって呼ばれる人たちだね。

キリスト教における原罪理論

いろいろあって、アダムとイヴは木の実を食べてしまって、
怒った神様に楽園から追い出されてしまった。

これが人間が犯した原初の罪=原罪


で、キリスト教の論理としては、
イエス・キリストが原罪を帳消しにしてくれた」……って続く。


もう少しキリスト教らしく言うと、
救い主イエスによって、神と人との間に結ばれた、新しい契約」=「新約」。


イエス・キリスト以前を「旧約(古い契約)」と呼んで、

イエス・キリスト以後を「新約」と呼ぶのは、そういうこと。


まー、そのへんの細かいところは端折るとして。


「イエス様はあなたの(罪の)借金を立て替えたお方。だから従おう」

というのが、キリスト教の根本教義。
これをキリスト教用語では「十字架のあがない」と言う。


まあ、うん。
ぶっちゃけた話……ちょっと押し売りっぽくもあるけど。

良くも悪くも、キリスト教らしい感じがこもってる部分だよねー。


参考リンク

Q6:カトリックとかプロテスタントって聞いたけど。

A6:そうそう。西側キリスト教の二大派閥といえば、その二つ。


f:id:dettalant:20161216151437p:plain:w250

(生粋のドイツ人で、好物はビール。マルティン・ルター先生の似顔絵です)


歴史的経緯はいろいろあって複雑なんだけど。
とりあえず簡単に言えば、こういう図式。



ちょっと前に「カトリックと正教会の両トップが、千年ぶりに会談
ってニュースあったでしょ?  (リンクは日経の記事)

千年って途方もない数字が使われるくらい、
西方と東方は別の歩み方をしてきたの。



……あ、ごめん。脱線してた。
カトリックプロテスタントの違いだったよね。


いやあ、そのね。

あまりに有名な二つだから、
分かれた経緯とかは皆さんお知りだと思うんだよね。


世界史の教科書とか、世界史の教科書とか、
あと世界史の教科書とかでさ。


なので、「さらに違いが知りたい」って人は……。

dettalant.hatenablog.com

この記事を見てもらえればバッチリだ!


……露骨な宣伝すまぬ……スマヌ……。
一度書いたことを再度まとめるのは苦手なの。

Q7:ぶっちゃけ、世界一血なまぐさい宗教だよね

A7:えっと。……そこについては、僕も苦笑いを浮かべるしか無い。


f:id:dettalant:20161216024015j:plain:w300

(十字の旗を引っさげて、騎士たちは進む)


歴史の上では、何度も何度も起きてきたことだけれど。
宗教は時に戦火を撒き散らす。


ほら、思い出してみて。
僧兵だとか、国家神道とか、ほにゃららしんりきょうだとか。


カルトからセクトまで……あるでしょ?
ほんと、いろいろと。


慈悲と愛の結びつきが、宗教の持つ表の顔だとするならば。

狂信と暴力の結びつきこそ、宗教の持つ裏の顔


どこの宗教も、歴史的には後ろ暗い部分を持ってる。
上にあげた例もその一部。

十字架の日陰側

キリスト教においては……。
あるよね、もっと有名なものが。


十字軍(中でも特に、無関係のユダヤ人襲撃)に、コンキスタドール

ヨーロッパとしても“黒”歴史な、奴隷貿易
宗教改革に始まる、カトリックプロテスタントの血塗られた闘争……。


まさしく枚挙に暇がないってやつだね。



周知の通り、
近代からの世界史はヨーロッパが牽引してきた。


で、みなさんも知っての通り、
ヨーロッパとキリスト教ツーカーの仲

だからこそ、こういった歴史と密接に関わってるの。



まあ……それで……ねー。


この辺りは僕としても、非常に言いにくい部分なんだけど……。

ただまあ、言わないわけにもいかないよね。


多種多様な異論反論は、無論ある。

だけれども。


当時のキリスト教会が、
それらをだいたい「黙認/容認してた」こと。


それは確かな事実だ。
少なくとも僕は否定できない。


……ただ、ね。

それだけで語り終えられるほど、
キリスト教は単純じゃあないのよね。。

十字架の日向側

比較宗教の本ではよく言われることなんだけど、
キリスト教ほど、光と闇が両方色濃い宗教はない」。

人道支援とか、貧民救済とか……そういう部分では、
キリスト教が強く広めた善行」も多いのよ。


善行と悪行の差が激しすぎて、
正直どういうイメージを抱けばいいか困るんだけど。


でもそのどちらもが、
同じ『キリスト教』の側面。


どちらか一方だけの宗教」とはなってない。
少なくともこれまでは、ね。


どの宗教にも限らず、
過去に行った善行』も、『過去にしでかした悪行』も、
両方ひっくるめて見ないといけない。


僕はそう考えてる。


必ずしも良い部分ばかりじゃない。
けど、必ずしも悪い部分ばかりじゃない。


人々を独善的に向かわせた部分も、
人々を人道的に向かわせた部分も、ぜーんぶ含めて総合的に。

キリスト教の真実」は、君の目で確かめてくれ!


参考リンク

Q8:なんでイスラム教と仲悪いの? 信じる神は同じでしょ?

A8:最近はまだマシになったけど、やっぱり仲悪いよねー。
これには歴史的経緯と、宗教的な相違の相関関係があるの。


f:id:dettalant:20161216024012p:plain:w300

(この三つは『アブラハムの宗教』とも呼ばれる)


キリスト教イスラム教は、歴史的に対立してきた。
十字軍とかレコンキスタとか……いろいろありつつ。

現在においても、二者(ユダヤ教含めたら三者)のしこりは残っている。


これはニュースとかでもおなじみだよね。


なのでここではあまり話されない部分。
教義上における、両者の価値観の違いを話そう。


真っ向対立する教義

さっきも言ったように、
キリスト教の特徴は「イエスを神の子として崇める」部分。


ちょいと専門的な言い方をすると、
イエスに神性を認める」部分になる。


これはね、イスラム教的には「けしからん」な大問題なんだよ。


アッラーの他に神はなし」。

この文言があまりに有名であるように。
イスラム教では「唯一神以外を信じるのはダメ」。


かのムハンマド氏も、預言者の一人にすぎなくて……って、そうか。

先に、『預言者』についても説明しなきゃいけないね。

預言者について

預言者ってのは、「言葉かる」。

要するに、「神様のメッセンジャー」。


俗世的に例えるなら……企業で言う「広報課長」的な感じかな。*2


平社員(信徒のみなさん)よりは役職が上。

だけど、偉大なる社長(唯一神)の代わりには到底なれない。


語弊を恐れず例えると、そういう感じ。
(いろんな人にごめんなさい)


だから「イスラム教においてのイエス*3」も広報課長。

正確に言えば「数多くいる預言者の一人」でしかない。
それこそが、「イスラム教から見たイエス像」なの。



反対に「キリスト教においてのイエス」は、
もっと偉い役職についている。


キリスト教会において、イエスは「神のひとり子」。

……つまり、「社長の息子」だ!
会議では社長の真横、二番目の上座に座るポジション。


広報課長の一人」と「社長の息子」の違い。

これは、とっても大きい違い。


僕はそういうイメージで受け取ってるよ。


……的を外した例えだったら、申し訳ない。

根本的な部分に矛盾点がある」とだけ、伝えたかったんです。

やっぱり対立する教義

あと、キリスト教から見ると、
ムハンマド氏も「ちょっと面倒な存在」なんだよね。


キリスト教の教義的には、
神の子イエスがつかわされて、全人類は救われた」って感じなんだけど。


イスラム教の教義的には、
最後の預言者ムハンマド氏がつかわされて、全人類は救われる」って感じでね。


すでに救われたのに、また神様が預言者をつかわす」。

これは少し、妙な流れに思えてこない?


ムハンマド氏はイスラム教の根本部分。
イスラム教として妥協できる部分じゃない。

かといって、キリスト教としても妥協できるわけがない。


そんなこんなで。
両者の溝は埋まることなく、喧嘩は今も続いている。

つまりはそういうこと。


参考リンク

Q9:学んでどう役に立つの?

A9:なんといっても、西洋世界を理解するには必須科目。


f:id:dettalant:20161216024009p:plain:w400

(世界のキリスト教徒の割合。色が濃いほどクリスチャン比率が高い)


はるか昔の時代から、指折り数えて数千年。

その間に世界は幾度も移り変わって、情勢を変え続けてきた。


田舎の一地域でしかなかったヨーロッパから、

世界をまたにかける帝国が出現したり、ね。


その動乱の中にあって、けして外れなかった柱の一つ。

それこそが、「西洋世界のキリスト教」。


その根は太く、どこまでも深い。

だからもしもあなたが、
真の意味で「西洋を理解したい」と思った時。


キリスト教は必ずあなたの前に立ちはだかるだろう。

それほどまでに、深く深く土台に埋まってるもの。
これは聖書の例えを借りれば、『隅の親石』と言われるもので……。


あ……ごめん、ヒートアップしすぎたね。 もう少し砕いて話すよ。

西洋文化の底流

この現代日本には、
外からやってきた西洋文化」がいっぱいあるでしょ?


クリスマス」とか「バレンタインデー」とかはわかりやすいし。

社会」って概念とか、「契約」って概念とか……ほかにもいーっぱい。


それら「西洋生まれの文化」が、
西洋で生まれた理由」を解きほぐしていくと……。

お察しの通り、キリスト教の影響が見えてくるってわけなのさ。


宗教ってのはそれくらい、
文化の底に染み付いてるもの。

取ろうとしたって取れないし、
意識することも難しいもの。


だからこそ。
宗教を理解することが、文化を理解する一番の近道


僕はそう信じてる。

おわりに

宗教ってのは、普段の生活では遠く見えるかもしれない。
僕も比較宗教を知り始めるまでは、そう思ってた。


けれど、宗教は生活の土台に潜むものであり、
文化の中で、知らないうちに跡を残すもの。


その魅力が、一体どれほどの深さを持つのかは……。
残念ながら僕も、まだ測りきれていない。


けれど、この記事が何か一つでも、
あなたに知的好奇心をプレゼントできたなら。

僕はとーっても嬉しく思う。


それじゃ、この記事はこの辺りでおしまい。


あなたの知識欲が、
この先も旺盛でありますように。

じゃあねー。

くれじっと

(各サイト名については敬称略)


『いらすとや』より引用

金の十字架
http://www.irasutoya.com/2014/11/blog-post_27.html

イエス先生似顔絵
http://www.irasutoya.com/2014/11/blog-post_13.html

アウグスティヌス先生似顔絵
http://www.irasutoya.com/2016/11/blog-post_315.html

ルター先生似顔絵
http://www.irasutoya.com/2015/12/blog-post_44.html

怒った上司
http://www.irasutoya.com/2015/07/blog-post_847.html


『wikicommons』より引用

ウロボロスの輪
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ouroboros.svg?uselang=ja

Theuerdank
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Theuerdank-3.jpg?uselang=ja

アブラハムの宗教のロゴ
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ReligiousSymbols2.svg?uselang=ja

世界のキリスト教徒の割合
https://en.wikipedia.org/wiki/File:Christianity_percent_population_in each_nation_World_Map_Christian_data_by_Pew_Research.svg


amazonリンクについて

当サイトは「amazonアソシエイト・プログラム」の末席に加わっております。


*1:厳密には『イスラーム』の表記が正しい。だけれど、この記事では伝わりやすさ重視として、『イスラム教』の表記を使ってるよ。

*2:ちなみに、この例えだとアブラハム氏が初代課長だろうね。年功序列的に考えて。

*3:イスラム教だと「イーサー」って名前で呼ばれるよ