まださなぎ(旧)

誰かさんの蝋の翼。気負わず気楽に書いてくよ。

2016年冬アニメ僕的アワード

 さあ、一つの時代が終わった。

 飛ぶ鳥のように季節は変わり、また新しい波がやってくる。でもその前に、少しだけ振り返っておこうじゃないか。

 といったわけで、よくあるアニメ振り返り記事。

 ただ、僕がある程度見たアニメ(主観的采配)に限られるし、どこでの影響力もない、安心安全アットホームなアワードだよ。本文は続きを読むを挟んでから。

 

 

今期作品紹介

 まずは今期に放送されたアニメの振り返り。ノミネート作品は栄えある「11」作品。

 全話見てない作品(つまりは途中で挫折したもの)と五分アニメについては、勝手ながら一言コメントだけとさせてもらったよ。

今期枠

紅殻のパンドラ

結論:茶番特急キマシ塔行き。

詳細:今期随一の百合枠。百合・ギャグを含ませた日常部分については流石の出来だが、シリアス部分に不得手が見える。

 百合方面では出来の良いストーリー。真面目な方面として見ると……ちょっと微妙。まさに「帯に短したすきに長し」……シリアスか日常か、どちらかに芯を絞って欲しかった。

 

霊剣山 星屑たちの宴

結論:炭酸抜きの炭酸飲料。受け入れがたい独特さがあるが、美味な部分もあり。

詳細:展開は「なろう系修行成り上がり」、世界観は「中華ベースな仙人ロマン」、事実的には「何がしたいのかよくわからない」作品。

 などと書くと、単なるダメアニメに思えるけれど、しっかり作りこまれた原作由来の世界観は魅力的。逆に言うと、それ以外はなんとも言えない……。

 人におすすめは出来ないけど、一人でひっそりと楽しむ作品かもしれない。血迷ったか、と思われるかもしれないけれど、結構楽しめたよ。

 展開からして、二期はもうちょいストーリー的な盛り上がりが見えるかもしれない。なにはともあれ、「霊剣山で待ってるぜ!」かな。

 

無彩限のファントム・ワールド

結論:良い意味でも悪い意味でも、京アニお得意の悪ノリ全部のせ。

詳細:始まった当初は微妙どころだったけど、一話全体が悪ノリに染まりだした中盤(六話熊ファンタジー回あたり)からぐっと面白くなった。が、話をまとめるためのシリアスに戻った十一話以降はちと微妙。最終話の作画は凄まじかったが……。

「六話熊回」と「九話演劇回」は文句なしの出来。他の回については、出来のばらつきが大きい。全体的には、「ちょい微妙」ってところかな。

 通して言えるのは……シリアスへの誘導が下手ってこと。ペーパードライバーの車庫入れくらい下手。

 

だがしかし

結論:よくばり駄菓子アニメ。全方面に媚びる欲深さ。

詳細:独特のノリ、止まらぬ内輪ネタ、出来のばらつきの強いストーリー、なんともコメントしづらいアニメだ。

 特筆すべきはちょくちょくちょくちょく……必ず毎回何かへの「媚び要素」が挟まれること。エロ媚び、百合媚び、ホモ媚び、往年のアニメ媚び、何でも媚び媚び決めつけるのはきりがないけれど、このアニメは実際にそれが多い。

 僕もしがない百合厨の一人だから、「百合媚び」は美味しく頂きました。けれど、ちょっと節操無さすぎアニメという感想しか抱かない。

 作品自体は凡庸。駄菓子紹介、ラブコメ展開、パロネタ、多方面に凡庸。

 ただ、EDのアリスパロは必見の出来だよ。本編との乖離が激しいけれど……。

 

この素晴らしき世界に祝福を!

結論:「性差別的な文化的骨董品 in なろう」なアニメ。僕、こういうのはあまり好きくない。

 

プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ

結論:イケメンたちの「走る男」。やってることがワンパなら、他の部分もちとワンパな香り。けして悪い作品ではないのだけれど、走るだけなのも確かだ。

 

灰と幻想のグリムガル

結論:展開・心情・演出、全てが大げさ。

 

おじさんとマシュマロ

結論:全話見た上での感想。「一話だけ見れば十分」

 

魔法少女なんてもういいですから。

結論:ぴくりともメインストーリーが進まない。逆にそこが癖になる日常系アニメ。時折見えるブラックジョークの切れ味も良い。今期の癒やし枠。百合厨補正を抜くと、「毒にも薬にもならない」ってところか。

 

前期継続枠

ヘヴィーオブジェクト

結論:安全装置かかりっぱなしの自動拳銃。暴発は絶対しない構造。

詳細:細かい粗に目をつぶれば、十分に良い出来。

 「シリアス・アクション部分と、その他の部分との乖離が激しすぎる」こと、「各章始まって早々看破できてしまう展開」「必要性を疑うえっち部分」「爆発・爆発・爆発の連続」はもはや定番の域。逆に心を空っぽにして見ていくと、実に楽しめるアニメであった。……というのは、原作部分の話。

 アニメオリジナルの「二十三、二十四話」だけは会心の出来。滑らかであり、かつ「ヘヴィーオブジェクトらしさ」も詰まったオリジナル回。単刀直入に言えば、「こういうオリジナルアニメだったら最高だったのに」って出来。

 

ザ・ペンギンズ from マダガスカル

結論:傑作コメディ。子供心を捨てられない大人向け。

詳細:僕が見始めたのは前期(2015年秋)Eテレ、第三シーズンから。

 ネジの外れたジョークと、密かに、しかし堅固に組み上げられた骨組み。少し3Dが古めかしいが、気になるほどでもない。

 時折入るミュージカルも、コメディタッチの名曲・名歌唱。日本語翻訳の妙が垣間見えるよ。

 

栄えある「僕的アワード」大賞は……

(やけに長いドラムロール)………………デン! 

 2016年冬アニメ僕的アワード大賞は、「ザ・ペンギンズ from マダガスカル

 心ときめくアクション、心ざわめくブラックジョーク、心さやめくストーリー。そして何より、心踊り出すミュージカル!

 たしか前期もミュージカルミュージカル叫んでた気がするけど、好きなモノはしょうがない。

 「小粋なジョーク」「不快さの無い安心設計」「新鮮な世界観」だけでもかなり好きな部類なのに、「質の良いミュージカル」まで入ってきたらもう、うん。

 アメリカアニメの予算と奥深さを感じてならない。

 総評的な何か

 一話切りも含めていろいろ見てたけど、全体に小粒ぞろいのクールだった。ただ、けして不作という訳ではなく、小粒であってもぴりりと辛い作品が光っていた印象がある。

 他の人にとってどうなのかは知らないが、少なくとも僕は十全に楽しめたクールだった。や、まあ、僕は毎クール楽しめるタイプの人なので、さして参考にはならない意見だろうけれど……。
 

 なにはともあれ、今期も多くの出会いと楽しみに満ち満ちていたことを、今は喜んでおきたい。再び始まる一つのクールが、良きものとなりますように。

 これにて「2016年冬アニメ僕的アワード」を終わりたいと思います。かしこ。